トマト氷の健康効果

トマトのリコピン
赤の色素の抗酸化パワーを十分に活用するために

トマトの濃い赤は、《リコピン》という色素が豊富なため。《リコピン》の強力な抗酸化パワーが健康にも美容に“効く”ことは、すでにお話ししてきたとおりです。

ムラカミ式トマト氷は、生のトマトでなく、加熱工程を経たトマトのホール缶でつくります。それは、そもそも生食用のトマトはピンク系トマトで、缶詰などの加工用に栽培された赤系トマトのほうが、はるかにリコピン量が多いからです。

栄養豊富な食品をとっても、それをからだが吸収できなければ、何の意味もありません。《リコピン》は、トマトの細胞の内部にありますから、その細胞を壊して取り出さなければ、からだは吸収できません。生のトマトを噛んだり、ミキサーにかけても、細胞はなかなか壊れません。壊して《リコピン》を外に出し、からだが効果的に吸収できるようにするには、加熱すること。さらには、破砕するプロセスが必要なのです。そこで、加熱は缶詰に任せ、それをミキサーで破砕し、氷にしたのです。そのことにより、豊富な《リコピン》をからだが十分に吸収しやすくさせました。

*リコピンは油に溶けやすい性質があるのでオイルを使う料理でとったり、牛乳と一緒にとるのがベター。*ムラカミ式トマト氷のからだが吸収できる《リコピン》量を、カゴメ株式会社総合研究所でトマトの研究を極めた稲熊隆博博士(現・手塚山大学教授)に調べていただきました。結果、氷にしても《リコピン》は劣化することなく、ホール缶と同等の使える《リコピン》量があることが判明しました。

◆トマトの栄養成分、効能について
=監修/カゴメ総合研究所部長・稲熊隆博博士
●リコピンについて
①抗酸化作用のしくみ
抗酸化力は、リコピン>βカロテン>ビタミンEの順で高い。抗酸化のしくみについて電子の観点から説明すると難しくなるので、「活性酸素=エネルギーレベルが高くなった酸素のエネルギーをリコピンが引き受けることで酸素のエネルギーレベルを下げ、安定化させる」としたほうがわかりやすいのでは。
②効果的な摂取方法
a. 生食では、ほとんど摂取できない。「加熱(または凍結)し、破砕する」ことで細胞壁が壊れ、リコピンが細胞外に出てはじめて摂取できる。
b. 加熱(または凍結)することで構造が変わり(トランス体→CIS体へ)、身体が吸収しやすくなり、また抗酸化力も高まる。
c. 加熱によってビタミンCは失われるが、それは他の食材と調理法で補えばよい。美容効果を得るには、ビタミンEを追加する。
d. ピンクのトマトには、リコピンはほとんど含まれない。ピンクのトマトを食べているのは、食用トマトの普及が遅れた日本とイギリスぐらいなものである。また、日本では生食が好まれるが、海外では加熱して食べるのが普通。
e. 油に溶けやすいため、油と一緒に摂る吸収されやすくなる。

●トマトの特徴的な成分について
①13オキソODA
中性脂肪の減少作用などがメディアでは取り上げられるが、研究者が含有量の計測を誤り、その誤った数値を元に発表された仮説にすぎないため、本書では言及を控えたほうがよい。
②ペクチン
腸管内をきれいにして大腸がんを予防する、という、一般的な記述でよい。トマトジュースに食物繊維が残り、わずかなトロみがあるのは、水溶性食物繊維・ペクチンによるところが大きい。

●トマト摂取の目標量
a. からだの吸収量にもよるので設定は難しいが、前立腺がん予防や美容の分野では「一日リコピン15mg」を目安としている(トマトジュースで160ml)。
b. 研究目的の際は、被験者にトマトジュース2缶(320ml)、赤系トマト400gの摂取をお願いしている(一日)。
c. リコピンを摂取する意味で、加熱した赤系トマトを使うなら、経済的な理由からも缶詰トマトを推薦したい。

●たまねぎとの相乗効果
a. たまねぎのケルセチン、トマトのリコピンの両方の効果で骨粗しょう症予防が期待できる。
b. たまねぎのイオウ化合物と、トマトのグルタミン酸は、味の面でも好相性と思う。

●特記事項
a. 酸化によってリコピンが変性し機能しなくなる。退色も進み白くなってしまうため、冷凍保存の際は、袋の空気をよく抜くことを促すとよい。保存期限は、家庭用のフリーザーで1カ月程度と思われる。
b. リコピンにやせる効果はない。「野菜は、その人のからだを真にふさわしい状態にしてくれるもの」と考える。トマトが痩身効果をもたないのも道理である。

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