毎日小学生新聞(2006.04.21) より転載
テレビや雑誌で活躍している料理研究家の村上祥子さんが、おやつのレシピ集「魔法のおやすBOOK」を刊行しました。
はかりを使わずに簡単に作れる楽しいレシピが満載です。
村上さんに料理の魅力を聞きました。 【篠口純子】
−コンデンスミルクを缶ごとお湯でゆでるだけでキャラメルができたり、ふたつき容器を使ってホイップクリームを作ったり、村上さんならではのレシピですね。
(村上さん) 長年の夢が形になりました。息子たちがかつておちびちゃんだったころから、たくさんおやつを作ってきました。
その経験を生かして、カップやスプーンの量を子どもが数えられる範囲にしました。
シンプルなお菓子ですから、子どもでも自分で作ることができるのが、この本の魅力です。
−小さいころから料理をしたほうがいいのでしょうか。
(村上さん) その通りです。
味覚が育つというのは、味もあります。
口に入れたときの硬さで耳に音が響きます。
目から色や形が分かります。
五感すべてで食材をとらえないと育たないのです。
ものを切ることも、硬そうにみえて軟らかかったり、自分で経験しないと分かりません。
全身全霊でものをとらえるから、頭脳の発達にもなるのです。
−子どもを対象にした料理教室のため、全国をとびまわっているそうですね。
(村上さん) 先日、六歳と七歳の男のお子さんで料理の様子を撮影しました。
一番下の三歳の男の子もエプロンを持ってきて、はりきってお米を洗ってくれました。
電子レンジで炊きましたが、お野菜たっぷりのチキンライスをパクパク食べていました。
その横でお母さんが、「ピーマンは食べたことないのに」と。
その子は「今日のピーマンは味が違う」と言うんです。
よく親から嫌いな野菜を食べられるような調理を教えてと言われますが、特殊なことをするつもりはありません。
自分で作ることが最大の調味料なのです。
−料理に興味を持ったのは。
(村上さん) 生まれついての料理大好き人間です。
私の母は、やりたいことをやらせてくれました。
小学三年生のころ、七輪で小麦粉と卵をまぜたお菓子を揚げていたとき、前髪をこがしたことがありました。
私も言いませんし、しかられたという記憶がないのです。
小学生四年になると、「少女倶楽部」にレシピを投稿したり、中学一年生のときはサントリーのカクテルコンテストに応募しました。
見事に落選したけれど、ポートワインを買ってきても、母は全然平気。
散々味見していたんですけどね。
−料理を楽しむコツは。
(村上さん) 「食べる」ってとても楽しい作業。
だから、仕掛けも楽しくしたいと思っています。
作るお菓子は子どもがよく知っているものがいいですね。
味を想像しながら作ることが、楽しさを倍にさせます。
☆魔法のおやつBOOK (村上祥子/著、講談社、1260円)
電子レンジを使った料理で知られる村上さんが、3歳からでも作れる20のレシピを伝授します。
電子レンジでトロトロにとかしたチョコレートを、凍らせたバナナやイチゴにちょっとつけると、チョコバナナ&チョコイチゴのできあがり。
ほかにも、ストロベリーサンデー、プリン、マシュマロクッキーが、簡単に作れます。
感想を書き込み、完成した写真を張ればオリジナル本にも。
キュートなイラストで分かりやすく説明されています。
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